わが闘争―不良青年は世界を目指す

わが闘争―不良青年は世界を目指す

本の本は迷わず買いますけど、「わが闘争」これだって、かなりの本の本です。表紙を見たときは、角川春樹の暴露本なのかしら?とか思っていたら、そういうたぐいでもない。セキララな女性遍歴とかももちろん載ってはいるんだけど、私が暴露本とか告白本を読みすぎて少々のことでは驚かなくなってるのかしらね。
この本で印象に残ったのは、角川書店の売り上げを様々な試みで倍倍に増やしていく角川春樹の手腕。文庫本にカラーでカバーをかけ、しおりに映画宣伝をし、メディアミックスを仕掛けたり。今では当たり前のことが当たり前じゃなかった時代に次々と実行していった角川春樹って凄かったんでしょうねえ。
今の経営についても書いてあるのですが、このタイトル「わが闘争」って過去のことをふりかえっての闘争を意味するのかと思ったら、これからの闘争のことを言ってるそうで、いつまでがんばるつもりなの?と目を丸くしてしまいました。
でも、今の春樹事務所では、もっと堅実な方法論を考えているよう。現在の出版不況をじっくりと見たうえで、できるだけ返品を少なくする制度を考えたり、小部数で勝負したり。
一度天下をとった人には、地味な戦略に戻るのはとても難しいことだと思いますが、あえて今の状況に合ったやり方ができることってなかなか出来たもんじゃないですよ。とくに年をとればとるほど難しいと思うので、とてもちゃんとしてんだなーというのが一番の感想でした。