今日からの電車本は昨日購入した「ツバメの来た道/アグネス・チャン」アグネスさんの自伝的な本で、12歳の頃からのお話が載っています。香港の市民が昔を振り返った話ってそういえば読んだことがないので、今ではギラギラした都会的な香港がほんの数十年前は、こんなに違っていたのかと驚くばかりです。数十ページを読んだだけですが、この本、今まで読んだどの香港本よりもオススメかもしれないとまで思っています。

もっとこの本に関して書きますね。アグネスさんが12歳の頃はちょうど文化革命のまっただなかで、中国側から香港に渡ろうとして力尽きた人たちの亡骸が香港の海にたどり着いていたそうで、その記憶から始まるんです。そんな話はなんとなく読んだことはあったんですが、大げさに言い伝えられたのか、小説の話だと思っていたので、凄く衝撃的でした。そんな衝撃的な話ばかりではないのですが、自分の目で見た人がちょっとそういうことを書いているだけでもう、小説なんか超越しちゃいますね。

あと、この本読んだらテレサ・テンさんの本も読みたいなあと思います。香港や台湾のあの年代の人はやっぱり少なからず文化革命に翻弄されてるんですね。

もうちっと読み進んでみたら、そういう暗い時代を超えて、アグネスが日本でデビューするまでのことが書いてありました。習慣の違いやとまどいもあるけれど、活き活きしてます。ちょうど時代はブルース・リーが現われて、森山良子さんなどフォークシンガーが台頭してきた頃。ちょっと前に読んだ「和製ドラゴン放浪記/倉田保昭」とも時代がぴったりかぶります。というのも、アグネスも倉田さんと同じくショウブラザースの映画に何本か出ていたりするからです。こういう読書の時代のシンクロ感があると、ますます読むのが楽しくなりますね。